放置リスクと対策|名古屋市で空き家管理を委託するメリット・デメリット
名古屋市内に空き家を所有しているものの、「遠方に住んでいて定期的な管理ができない」「高齢で現地まで足を運ぶのが難しい」といった理由で、つい管理を後回しにしていないだろうか。しかし、空き家の放置は単なる手間の問題では済まない。建物の劣化による資産価値の低下、近隣トラブルの発生、さらには2023年の法改正による行政指導と税負担増など、所有者にとって深刻なリスクを招く可能性がある。
特に近年、空き家問題への社会的関心が高まり、法的な規制も厳しくなっている。適切な管理を怠った場合、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例が適用除外となると、課税標準が元に戻るため固定資産税は概ね最大約6倍、都市計画税は約3倍に増える可能性がある。一方で、専門業者に管理を委託することで、こうしたリスクを回避しながら資産価値を維持できる選択肢もある。
この記事では、愛知県名古屋市を中心に不動産売却や相続サポートを手がけるユーテラスの視点から、空き家を放置するリスクを具体的に解説するとともに、専門業者への委託のメリット・デメリット、そして信頼できる業者の選び方まで詳しくご紹介する。大切な資産を守るために、今できる対策を一緒に考えていきたい。
目次
1. 空き家を放置する4つの大きなリスク
空き家を放置すると、所有者が想像する以上に多くの問題が発生する。ここでは、特に重大な4つのリスクについて具体的に見ていこう。
リスク1:資産価値の低下と売却・活用の困難化
人が住まない建物は、予想以上のスピードで劣化が進んでいく。定期的な換気や通水がないと、湿気がこもり、カビやシロアリの被害が拡大していくからだ。
具体的には、以下のような劣化が進行する。
· 雨漏りによる天井や壁の腐食
· シロアリ被害による柱や土台の損傷
· カビの繁殖による内装の汚損
· 水道管の劣化や給湯器などの設備不良
こうした劣化が進むと、いざ売却や賃貸に出そうとしても、物件の評価が大幅に下がってしまう。さらに、修繕費用が高額になり、活用のハードルがどんどん上がっていく。結果として、売却益の減少や売却そのものが困難になるという事態を招くのだ。
✓ 建物は人が住まなくなると急速に劣化するため、定期的な管理がないと資産としての価値を大きく損なうことになる。
リスク2:近隣トラブルの発生
空き家の管理不足は、周辺住民にも直接的な影響を及ぼす。庭の雑草が生い茂り、害虫の発生源となったり、建物の老朽化による倒壊や部材の落下で、近隣住民や通行人に危険が及ぶ可能性もある。
さらに深刻なのは、防犯面でのリスクだ。人の気配がない空き家は、不審者の侵入や不法投棄の温床となりやすい。実際に、空き家が犯罪の拠点として利用されたケースも報告されている。
こうしたトラブルは、近隣との関係悪化につながるだけでなく、所有者自身の社会的信用にも影響を与えかねない。
✓ 近隣トラブルは金銭的な損害だけでなく、地域社会での信頼関係を損なう重大な問題につながる。なお、倒壊・外壁落下・害虫・不法侵入等の具体的なリスクについては、国土交通省の空き家対策特設サイトでも整理されている。
リスク3:法的なリスクと行政指導
2023年の改正空き家特措法(2023年12月13日施行)により、空き家への対策が大幅に強化された。特に注目すべきは、新たに「管理不全空き家」という区分が設けられた点だ。
従来の「特定空き家」は、すでに倒壊の危険性が高い状態を指していたが、管理不全空き家は放置すれば将来的に特定空き家になる恐れがある状態を対象としている。つまり、より早い段階で行政指導の対象になるようになったのだ。
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区分 |
定義 |
主なリスク |
|---|---|---|
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管理不全空き家 |
放置すれば特定空き家になる恐れがある状態 |
行政からの指導・勧告の対象 |
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特定空き家 |
倒壊の危険性が高い、衛生上有害な状態 |
固定資産税の優遇解除、命令・代執行の対象 |
特に深刻なのが、固定資産税・都市計画税の負担増だ。行政から勧告を受けると、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例が適用除外となり、課税標準(固定資産税は小規模住宅用地で1/6、一般住宅用地で1/3)が本来の評価額に戻るため、固定資産税は概ね最大約6倍、都市計画税は約3倍に増える可能性がある。年間数万円だった税金が、突然数十万円になるケースもあるのだ。
さらに、建物の不備で第三者に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負う可能性もある。例えば、強風で外壁材が落下し、通行人がケガをした場合、治療費や慰謝料を支払わなければならない。
✓ 法改正により、空き家の管理責任が明確化され、放置することのリスクが格段に高まっている。
リスク4:経済的負担の増大
空き家の管理を怠ると、短期的には手間や費用を省けるように感じるかもしれない。しかし、長期的に見ると、より大きな経済的負担を招くことになる。
劣化が進んだ建物の修繕には、想像以上の費用がかかる。さらに解体が必要になった場合、費用は構造・規模・立地・廃棄物処理費用によって大きく変動するため、現地での見積もりが必須となる。なお、名古屋市では老朽危険空家等除却費補助金(評価75点以上で上限40万円、125点以上で上限80万円、年度・予算枠・要件有)が用意されているため、該当する場合は活用を検討したい。
さらに、特定空き家に指定されれば前述の通り税負担が激増し、売却も困難になる。こうして、本来得られたはずの売却益を失い、逆に支出だけが膨らむという悪循環に陥ってしまうのだ。
✓ 目先の管理費用を惜しむことで、将来的にはるかに大きな経済的損失を被るリスクがある。
2. 空き家管理を専門業者に委託する4つのメリット
空き家の放置リスクを理解したところで、次は専門業者に管理を委託するメリットについて見ていこう。
メリット1:手間と負担の大幅な軽減
空き家管理の最大のメリットは、所有者の物理的・精神的な負担を軽減できる点だ。
遠方に住んでいる場合、名古屋市内の空き家まで定期的に通うのは、時間的にも金銭的にも大きな負担となる。交通費や宿泊費を考えると、年間数万円から十数万円のコストがかかることも珍しくない。また、高齢や体調不良で現地まで足を運べない所有者も多い。
専門業者に委託すれば、こうした負担から解放される。事業者ごとに設定された頻度(月1〜2回など)で定期巡回が行われ、換気、通水、郵便物の整理、庭の簡易清掃などを代行してもらえる。契約前には、巡回頻度・報告書の形式(写真の有無・点検項目)・緊急駆け付け体制を必ず確認しておきたい。これにより、遠方に住んでいても、高齢であっても、安心して物件を維持できる。
✓ 所有者の生活環境や健康状態に関わらず、適切な管理を継続できる体制を構築できる。
メリット2:確実なリスク回避
専門業者による管理の最大の価値は、プロの目による定期的なチェックが入ることだ。
素人では見逃しがちな建物の異常も、経験豊富な専門家なら早期に発見できる。例えば、雨漏りの初期サインや、シロアリ被害の痕跡、給湯器の異常音などだ。こうした問題の早期発見により、小さな修繕で済むうちに対処でき、結果的に大規模な修繕費用を回避できる。
また、定期的な巡回により、不審者の侵入や不法投棄を抑止する効果もある。人の出入りがあることが外部から分かれば、犯罪の標的になりにくくなるのだ。
✓ 専門家の定期点検により、小さな問題を大きなトラブルに発展させないための予防的な管理が実現できる。
メリット3:法改正への適切な対応
2023年の法改正を踏まえると、専門業者による管理は行政指導のリスク低減という点でも重要な意味を持つ。
管理業者は、行政が問題視するポイントを熟知している。そのため、専門業者による定期点検・外観維持・庭木管理等により勧告を受けにくい状態を保ち、結果として住宅用地特例の適用除外を回避しやすくなる。具体的には、建物の外観を良好に保つ、庭木の剪定や雑草の除去を行う、建物の安全性を定期的にチェックするといった対応だ。
こうした適切な管理により勧告を受けにくい状態を保つことで、結果として固定資産税・都市計画税の住宅用地特例の適用除外を回避しやすくなる。これは長期的に見れば、大きな経済的メリットとなる。
✓ 法令を熟知した専門家による管理は、行政リスクの低減に有効な対策となる。
メリット4:資産価値の維持と将来の選択肢拡大
適切な管理により建物の状態を良好に保つことは、将来の選択肢を広げることにつながる。
売却を考える際、管理が行き届いた物件とそうでない物件では、査定額に大きな差が出る。場合によっては、数百万円単位で評価が変わることもある。また、賃貸に出す場合も、状態の良い物件なら早期に借り手が見つかり、高い賃料設定も可能になる。
さらに、将来的に自分や家族が住む可能性がある場合も、適切に管理された物件なら最小限のリフォームで居住可能な状態を維持できる。
✓ 今の管理が将来の資産価値を左右し、売却・賃貸・居住といった様々な選択肢の実現可能性を高める。
3. 空き家管理を専門業者に委託するデメリットと注意点
メリットが多い専門業者への委託だが、当然ながらデメリットや注意すべき点もある。委託を検討する際には、これらの点も十分に理解しておく必要がある。
デメリット1:継続的なコストの発生
最も明確なデメリットは、月々の管理費用が発生する点だ。
料金はサービス範囲・連絡体制・頻度によって大きく異なる。写真付き報告の有無、巡回時間、換気・通水・清掃の範囲、緊急駆け付け対応、保険加入の有無など、仕様を揃えた相見積もりで比較することが重要だ。
ただし、この費用を「負担」と捉えるか「投資」と捉えるかは、視点次第だ。前述の通り、管理を怠って建物が劣化すれば、将来的に高額な修繕費や解体費が必要になる可能性がある。また、固定資産税・都市計画税の優遇が解除されれば、年間数十万円の負担増だ。
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項目 |
短期的なコスト |
長期的なリスクコスト |
|---|---|---|
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管理委託 |
月額管理費(業者・内容で異なる) |
リスク回避により負担軽減 |
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放置 |
0円 |
修繕・解体費用、税負担増の可能性 |
✓ 月々の管理費用は、将来の大きな支出を防ぐための予防的投資と考えることができる。
デメリット2:業者選定に必要な時間と労力
信頼できる業者を見つけるまでには、一定の時間と労力がかかることも事実だ。
名古屋市内だけでも、空き家管理サービスを提供する業者は多数存在する。それぞれのサービス内容、料金体系、対応エリア、実績などを比較検討する必要がある。複数社から見積もりを取り、実際に担当者と面談し、信頼できるかを見極めるプロセスは、決して楽な作業ではない。
しかし、この初期の手間を惜しむと、後々トラブルに発展する可能性もある。例えば、報告が不十分で物件の状況が把握できなかったり、緊急時の対応が遅れたりといった問題だ。
✓ 業者選定の手間は初期投資として必要なプロセスであり、長期的な安心のために避けて通れない。
デメリット3:情報共有の重要性
委託後も注意が必要なのが、業者とのコミュニケーション不足による問題だ。
管理を任せたからといって、完全に放置していいわけではない。定期的な報告を確認し、必要に応じて質問や要望を伝える必要がある。業者とのコミュニケーションが不足すると、物件の状況が十分に把握できず、重要な問題を見逃してしまう可能性がある。
特に、写真付きの報告書が定期的に届くか、緊急時の連絡体制は整っているか、といった点は契約前に必ず確認しておきたい。
✓ 委託後も所有者としての意識を持ち、業者との適切な情報共有を継続することが重要だ。
4. 名古屋市で信頼できる空き家管理業者の選び方
では、実際に名古屋市で空き家管理業者を選ぶ際、どのような点に注意すれば良いのだろうか。4つのポイントを押さえておきたい。
選び方1:サービス内容と料金体系の明確性
まず確認すべきは、月額料金に何が含まれているかだ。
基本サービスとして一般的なのは、巡回点検、換気、通水、郵便物の整理、簡易清掃などだ。しかし、業者によって基本サービスの範囲は異なる。例えば、「換気は含まれるが通水はオプション」といったケースもある。
また、定期報告書の有無や頻度も重要なポイントだ。写真付きの詳細な報告書を毎回提供してくれる業者もあれば、問題があった時のみ連絡という業者もある。
オプションサービスについても確認しておきたい。庭木の剪定、草刈り、雪かき、緊急時の駆けつけなど、必要に応じて追加できるサービスがあるかどうかだ。
✓ 料金だけでなく、具体的なサービス内容と報告体制を比較し、自分のニーズに合った業者を選ぶことが大切だ。
選び方2:地域での実績と信頼性
名古屋市や周辺エリアでの実績は、業者選びの重要な判断材料となる。
地域に根ざした業者は、名古屋市の気候や建物の特性、地域特有の問題(例えば、特定エリアでの害虫発生など)に精通している。また、名古屋市の行政窓口との連携がスムーズで、必要に応じて適切なアドバイスを受けられる可能性も高い。
実績の確認方法としては、以下のような点をチェックしたい。
· 管理実績件数と具体的な事例
· 顧客の口コミや評判
· 会社の設立年数や業界での評価
· 不動産関連の有資格者の在籍状況
✓ 地域での実績が豊富な業者は、名古屋市特有の問題にも適切に対応できる可能性が高い。
選び方3:担当者とのコミュニケーション
サービスの質を左右するのは、最終的には担当者の人柄と対応力だ。
初回の相談時に、以下のような点をチェックしてみたい。
· 質問に対して丁寧かつ明確に答えてくれるか
· 専門用語を分かりやすく説明してくれるか
· こちらの事情や要望を真摯に聞いてくれるか
· 契約を急がせず、十分な検討時間を与えてくれるか
長期的な付き合いになる可能性が高いため、信頼関係を築けそうかという直感も大切にしたい。違和感を覚えたら、別の業者も検討する勇気を持つことだ。
✓ 料金やサービス内容だけでなく、担当者との相性も重要な選定基準となる。
選び方4:緊急時の対応体制と保険
最後に確認しておきたいのが、万が一の際の対応体制だ。
台風や地震などの災害時、水漏れや侵入者発見などの緊急事態が発生した際、すぐに駆けつけて対応してくれるか。24時間365日の連絡体制が整っているか。こうした点は、契約前に必ず確認しておきたい。
また、賠償責任保険への加入状況も重要だ。管理業務中に何らかの事故や損害が発生した場合、適切な保険に加入していれば補償を受けられる。業者が保険に加入していない場合、所有者が全責任を負うリスクもある。
✓ 緊急時の対応体制と保険の有無は、長期的な安心感を大きく左右する要素だ。
5. まとめ|名古屋市の空き家管理は専門家への相談から
空き家を放置することは、資産価値の低下、近隣トラブル、行政指導による税負担増、そして将来的な高額な修繕費用といった、多岐にわたるリスクを招く。特に2023年の法改正以降、管理責任は一層重くなり、放置することのデメリットは年々拡大している。
一方、専門業者に空き家管理を委託すれば、手間を大幅に軽減しながら、こうしたリスクを確実に回避できる。定期的な点検による早期発見、法令に基づいた適切な管理、そして資産価値の維持といったメリットは、月々の管理費用を上回る価値があると言えるだろう。
もちろん、管理費用の発生や業者選定の手間といったデメリットもある。しかし、複数社を比較検討し、サービス内容・実績・担当者との相性・緊急時の対応体制などを総合的に判断すれば、信頼できるパートナーを見つけられるはずだ。
名古屋市で不動産売却や相続のサポートを手がけるユーテラスでは、空き家管理に関する相談も承っている。放置された空き家の活用方法や、管理業者の選定、さらには売却を含めた今後の方針について、専門家の視点からアドバイスを提供できる。
なお、名古屋市では空き家総合相談窓口や、各公益社団法人による空き家相談窓口も設けられている。老朽危険空家等除却費補助金などの制度活用を含め、幅広い相談が可能だ。
大切な資産を守るために、まずは現状を正確に把握し、適切な対策を講じることから始めてみてはどうだろうか。
参考出典
監修者情報

株式会社ユーテラス
代表取締役 塚本 雄介
